2つのミニ・ドラゴン 4
この巨大プロジェクトが、この時期にあえて発表されたのは、天安門事件直後の香港経済のカンフル剤として、また香港の将来に住民の信頼をつなぎ止めるためだったといわれます。
この計画の宣伝のために香港政庁は、『未来への玄関口』と題したPRビデオをつくりました。
わずか10分のビデオに日本円にして6000万円の予算をかけたというその映像は、香港の街がコンピュータ・グラフィックスを駆使して、次々と未来図に変わっていく姿を描いています。
その映像を見ると、いままで開発とは無縁だった島、新空港予定地のランタウ島からハイウェイが延び、瀬戸大橋にも匹敵する巨大な橋で新空港と香港島が結ばれ、、高速電車が行き来しています。
かつてのスラム街「九龍城」を含む現在の啓徳空港周辺には、高層ビルが林立し新たなマンハッタン・商業地区が出現します。
ビクトリア湾に面した臨海地区は次の埋め立てが進められ、港湾施設は現在の8倍の貨物取扱量、空港は年間8000万人、現在の3倍の乗降客を収容できます。
そこに映し出される未来の姿は、香港市民ならずとも香港の将来に明るい希望を見いださずにはおかないという、まさにバラ色の世界なのです。
香港政庁は、この開発プランの調査に20年余りの歳月をかけ、20か所に及ぶ候補地から選定したのがランタウ島北部の新空港予定地だといいます。