国内に抱える矛盾 3

「中国人は長い間、矛盾を無視することに慣れているからです。


彼らは矛盾に気づかないブリをすることができるのです」。


・・・一方、ソ連科学アカデミーの博士は、ソ連の実情を踏まえながらいまの中国の現状を批判していました。


「郡小平の苦しみは、ほかの多くの指導者の苦しみと同じです。


中国を袋小路に追い込んだ過去の政治を変革のために拒否したのですが、彼は次の一歩が踏み出せません。


彼は中国共産党の独裁を拒否できず、マルクス主義の原則、あるいは毛沢東の思想からも逃れることができないのです。


ここに政治家としての彼の苦悩があるのです。


なぜなら中国を改革し中国の近代化を実現するのはマルクス主義、毛沢東の思想から離れて初めてできることだからです。


新しい道を探さなければいけないのです。


もはやマルクスや、毛沢東を振り返る必要はないのです。


将来を見ること、現在を見ることが大切なのです」。

国内に抱える矛盾 2

アメリカ・ミシガン大学のマイケル教授は、いま中国は大きな「ジレンマ」を抱えていると指摘します。


「中国の指導者たちが直面する最大の問題は2つの課題のバランスをとっていくことにあります。


つまり、一方で代々受け継いできたマルクス・レーニン主義を堅持しながら、もう一方で自由な経済活動を求める民衆の要求を生かして、経済開放を進めなければならないのです。


私の見るところ、このジレンマに対する容易な解決策というものはありません。


東欧やソ連でも、このジレンマの解決策はありませんでした」。


・・・このジレンマについて、マサチューセッツ工科大学の教授の分析はこうです。


「われわれから見ると、はっきりとした矛盾があるように見えます。


どちらか一方を選ばないと駄目だと、われわれは考えます。


しかし中国人は2つを両立できると考えるのです。


彼らは、天秤で2つのバケツを同時に運べると考えているのです。


つまり、一方で独裁主義的な政治システムを持ちながら、もう一方で現代的な経済システムを持つことができるというわけです。


これはある程度までうまくいくかもしれません」。

国内に抱える矛盾

「現在、中国はアジア経済だけでなく、世界経済の一部になりつつあります。


中国経済の健全さは、この地域の安定と経済繁栄に重要なものです。


そしてアジアで未解決の問題についてもそうです。


朝鮮半島、カンボジアの問題など、すべてにおいて中国はきわめて重要な役割を果たしていくことになるのです」。


・・・1990年12月、上海にはついに資本主義の象徴である株式市場まで登場しました。


天安株の値動きに熱狂する上海市民たち門事件から2年・・・。


中国は積極的な経済改革を進めています。


しかしその一方で、政治面では共産党の一党独裁を堅持し、マルクス・レーニン主義を守りながら独自の社会主義国家建設をめざしています。


この2つの柱を軸に、今後中国はどのような道を歩んでいくのでしょうか。

アジア情勢と中国 5

「一方、北朝鮮ですが、われわれは北朝鮮の金日成の気まぐれに付き合いながら、韓国との関係を保つことはできません。


ところが、中国人は彼の気まぐれにある程度付き合っているのです。


つまり北朝鮮に対し、より柔軟な態度をとっています。


この点が北朝鮮との関係における中ソのノ番の違いだと思います」。


・・・このチャイナウォッチャーのなかでも、アジアにおける中国外交に最も大きな期待を寄せているのが、アメリカ国務省の中国課長でしょう。


課長は語っています。


「冷戦が終わったとはいっても、世界にはいまだに混乱や不安が残っているのです。


われわれは米中双方にかかわる重要な国際問題に関して真剣に対話を継続するつもりです。


すぐに思いつくのはアジア地域の問題で、ここで中国は重要な経済的な役割を果たしています。


中国の経済力は間違いなく巨大なのです」。

アジア情勢と中国 4

それでは、アジア外交最大の焦点のひとつである朝鮮半島における中国の役割についてはどうでしょうか。


韓国・高麗大学の教授は中国の外交に期待をかけています。


「韓国はソ連との国交を回復しましたが、それと同じように中国政府とも外交関係を樹立しようとしています。


しかし、中国は北朝鮮の立場を考慮に入れなくてはならないのです。


ですから日本と北朝鮮の関係や、アメリカと北朝鮮の関係が改善されることが重要です。


そうなれば中国と韓国の国交樹立も実現されると思います。


中国は北朝鮮に対して、韓国との対話を継続するように働きかけていると思います。


そういう意味で、中国は朝鮮半島の統一を着実に進める役割を果たしているのです」。


・・・一方、ソ連は朝鮮半島での中国の動きをどう見ていたのでしょうか。


ソ連科学アカデミーの博士(当時)は、中ソの朝鮮半島に対する対応の違いを強調します。


「中国は韓国との関係でまだ積極的な行動に出ていません。


もちろん、すでに中国は韓国と貿易をしていますし関係を保っていますが、われわれソ連ほどの関係ではないということです」。

アジア情勢と中国 3

前回からの続きです。


「もちろん、それによって統一への道が平坦なものになったとは思いません。


なぜなら台湾はますます経済的威力を増しており、中国の統一にそれほど興味を示さなくなっているのです。


また台湾政府は『ちょっと待てよ。


香港と中国の再統一がどのようになるか見て、それから判断しよう』と考えているわけです。


彼らは少し様子を見ればいいのです」。


・・・こうしたなか、返還を間近に控えた香港の専門家は中国の動きをどう見ているのでしょうか。


中国情勢の分析で定評のある香港の雑誌『明報』の査良鋪会長はこう語りました。


「"一つの国にニつの制度"という共産党政府の提案はなかなかいいと思います。


つまり香港が返還されてもこれまでの資本主義の生活や、もともとの自由な政治制度や経済制度は変わらないという提案です。エグゼクティブトレードによると、少なくとも50年は変わらないとしていますし、郡小平は50年どころか100年は変わらないと言っていました。


その意味では理論的に香港はいまより良くなるはずなんですが、しかし香港の人たちは北京政府を信用していません。


というのは、大陸では政府が言ったことを後になって自分で否定したりひっくり返したりしたことが、これまで何度もあったからです」。

アジア情勢と中国 2

「われわれは大陸政権は敵であり、台湾と対立していると教えられてきました。


われわれのこれまでの概念では大陸政権はたいへん恐ろしく、残酷でそして非民主的な政府だということでした。


しかし、いまや台湾も経済的に成長し、また政治的な開放も進んできました。


そして大陸との交流も始まり、われわれはいま違う角度からあの政府を見ることができるようになったのです。


つまり1949年以来、中国共産党が国民党の代わりに大陸唯一の政党として人々に行ってきた実績に注目すべきだと思うのです。


たしかに政治面では非民主的ですが、経済面ではこの何十年間も続いた民衆の貧しい生活を変え、その基本的生活レベルを保ちました。


それに、中国の国際的地位の向上にも大きく貢献したと思います。


これはやはり肯定すべきことです」。


・・・こうした台湾の新しい動きについて、マサチューセッツ工科大学のルシアン教授は次のように分析しました。


『中華人民共和国と台湾の間には幾つかの矛盾する動きが起きていました。


不思議なことに天安門事件のとき、各国の政府が中国と距離を保とうとしたのに対し、台湾はむしろ中国に接近していったのです。


彼らは頻繁に大陸を訪れるようになりました。


貿易も盛んになりました。


また、広東省と福建省では香港からの投資が盛んになったのです」。

アジア情勢と中国

「かつてのように、軍事力を含め国際政治のすべての問題で中ソが共同歩調をとるというところまで行くかどうか。


私は、今後の情勢の推移を見なければいけないのですが6対4くらいでそうはならないだろうと思います。


ソ連も中国も、社会主義国としてのかつてのライジング・パワーのある勢いの良い時代とはまったく違うわけで、お互い弱みを相互にかばい合って生存していかなければならないのですから、たとえば軍事的脅威であるとか、国際政治上、大きなバランスの変化につながるというふうには私は見ません」。

・・・中国を取り巻くアジア情勢はいま、大きく動きはじめています。


1997年に中国への返還を控えている香港では、89年の天安門事件以降、市民の不安が高まっています。


また、台湾は91年4月末の国民大会で中国を敵視する憲法の条項を廃止し、戦後40年、内戦状態にあった中台関係は新しい時代に入りました。


統一を模索する朝鮮半島では、90年5月に中国の李鵬首相が北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)を訪問し、金日成主席と会談、朝鮮半島の今後について話し合っています。


一連の中国の動きは、アジアの将来に大きな影響を及ぼすものと見られています。


これについて、中国の行方を固唾をのんで見守っているアジア各国の専門家の声を中心に聞いた。


台湾の大手月刊誌『中国論壇』の編集長は、若い人たちを中心に台湾の人々の大陸を見る目が転機に来ていることを強調しました。

冷戦後の世界情勢

冷戦後の世界情勢について。


当時、ミシガン大学のマイケル教授は中ソの接近については以下のような見方をしていました。


「ただ、いまは1950年代ではないということです。


現実にソ連が中国に影響を与える可能性はほとんどありません。


ソ連の兵器がたいしたものでないということが湾岸戦争で証明されたばかりです。


たとえソ連と中国の強硬派どうしの連合があっても、それが混乱を起こす原因とはならないでしょう。


日本とアメリカのアジアに対する考え方に食い違いが出るかもしれませんが、最悪の場合そういったことが起こっても、われわれは冷静に対応すべきです。


中ソ関係に過度に反応しないことが大切です。


中国がソ連との関係を改善しようとしている裏には、何とかしてわれわれの関心を引こうとしているところがあるからです」。


・・・これは、東京外国語大学の中嶋教授も、オクセンバーグ教授と同じ意見でした。

乙樽と若按司

沖縄は季節を問わず人気の観光地です。


近年では沖縄ツアーなども多く組まれ、老若男女たくさんの人々がこの島を訪れています。


そのなかでも人気があるのが今帰仁城跡。


わたしも行ったことがあります。


この史跡には絶世の美女とうたわれた志慶真乙樽の歌碑があります。


乙樽は王の側室となり、かわいい王子(若按司)を産みます。


しかしその若按司の祝宴のさなか、突如として起こる反乱軍の声に、若王を抱いて城を脱出しました。


若王の安全のために、泣く泣く別れることを決意する乙樽。


その後、若按司は8歳まで山田大主の家で育ちましたが、危険が迫ったので、領外の北谷村にのがれ、百姓家に下男として身をかくしました。


そして18歳になったとき、謝名大主以下の旧臣を率いて、ようやく本部大主を討ちとることができたのです。


ところで、その間、乙樽はどうしていたかについては、具体的な話は伝わっていません。


たぶん彼女は、どこに身をかくしてもすぐかぎつけられたにちがいなく、本部大主に凌辱されたと考えるのが自然でしょう。


そして民衆は、そのような不幸な屈辱の歳月については、多くを語りたがらなかったのかもしれません。


仇討が成功したあと、新王は乙樽を厚く遇し、神女の列に加えました。


当時は、今帰仁ノロ以下の神女たちが神に祈願し、神の声を聞くマツリゴトによって政治が行われていましたから、神女たちは神人といわれて、神として仰がれていたのでした。


神職は母系相続で、乙樽の生家である島袋一門からは、いまでも乙樽神と称する神女が出て、二人の脇神を伴って城内の祭祀に参加しているそうです。

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